長い旅の終わり

いよいよ来週の月曜にここを出発する。部屋でインターネットが使えるのが今日までなので、今回の滞在におけるフランスからの更新はこれが最後になるだろう。今日が2007年10月26日。2004年の11月26日にこちらに来たので今日でちょうど2年と11ヶ月。着いた日のことは今でもよく覚えている。車窓から眺める高速道路沿いの無機質な風景に、著しく不安を掻き立てられた。
外国で生活する経験が出来て本当によかったと思う。ずっと住んでいた日本を出るという経験は、想像以上に大きなものをもたらしてくれた。中にずっといると見えないものというのは確かに存在すると思う。
もちろん外国に住むというのは、そんなに難しいことではない。住むこと自体はたいしたことではない。でもこうして滞在をほぼ終わりにして思うことは、それが自分にもたらした変化の確かな手触りである。
それは個人的なことでまた精神的なものかもしれないが、たぶん日本にずっといたら見えてこなかったものなのだろうと思う。
だからどうだということはもちろんない。えらいとか、たくましくなったとかそういうことではなく、ただ3年前とは違う自分がいて、僕はこの変化を非常にかけがえのないものとしてとらえている、それだけだ。
正直つらいことの方が多かったかもしれない。ただどんなにつらい状況でも必ず助けてくれる人がどこかにはいる、このことを僕はこの滞在で強く感じた。複数の人につれない態度を取られることは、すべての人にそうされることを意味はしない。よく周りを見ることだ。必ず誰かがいた。そして異邦人である自分に声をかけてきてくれた。決して1人ではなかった。
そうした人たちのことを僕は忘れないだろう。そして次は自分が誰かに声をかけてあげられれば、と思う。
僕の滞在を支えてくれたすべての人たちに心から感謝したい。
2007年10月26日 モンペリエにて