リスニング考

時々、このままずっと聞き取れるようにならなかったらどうしようと、強い不安を感じることがある。特に真夜中に目を覚ました時などだ。暗さと静けさは、不安をいっそう駆り立てる。そんな時は、MP3プレーヤーでリスニングを始める。勉強していることへの安心感と疲労が再び自分を睡眠の世界へと導いてくれる。
これからリスニングについて書こうと思うが、リスニングができていない自分が書くことであるから、間違っているかもしれないし、今後考えが変わるかもしれない。今思っているところを書くだけである。基本的には「英語耳」で書かれていることが下敷きになっていると思う。
結局、言葉は構成音の列だ。日本語の構成音が50音+アルファであるように、フランス語・英語は別の構成音があり、それの連なりが言葉だ。外国語の習得のためには、母語にない構成音を認識できるようにならなければならない。母語と似ているように思える構成音でも、全く同じということはない。すべての構成音を知ること、それが第一歩だ。それが出来ていない場合、脳は自分の知らない音を聞いたときに、その音を自分の知っているそれに近い音で置き換えてしまう。
構成音は、隣の構成音との関係で、リエゾンしたり、一体化したり、発音されなくなったりするときがある。話すスピードが速くなると、その構成音の長さ自体が短くなる。音声変化の現象があったり、弱くなったり、短くなったり、あるいはきれいに発音されなくなったりして、構成音の認識は難しくなる。しかし、構成音は確かに存在している。リスニングの訓練とは、このような変化が起こったときでも、構成音を認識する訓練だと思う。母語の場合は、その能力を自然に獲得する。少しぐらい早口だったり、もごもごと話されても、たいていは認識できる。
構成音の認識のトレーニングには、スクリプトを見ながら音声を聴くのが効果的であるように思う。使うスクリプトは、自分の理解したいスクリプトを使えばいいと思う。ニュースを聞き取りたい人はニュースを、好きな映画がありそれを聞き取れるようになりたい人は、そのDVDを使えばいい(ただ最初から、内容が高度なもの、音の変化があまりに大きいもの、ものすごい早口ものを選ぶのは無理があるかもしれない。ゆっくり丁寧に話しているナチュラルスピードのものがいいと思う)。「英語耳」に書かれているように、第一段階のトレーニングとして歌を使うというのは、とてもいい方法だと思う(もっといえば、「英語耳」の最も優れているところは歌を使っているところだと思う)。歌で話される言葉のスピードは日常会話よりゆっくりだし、音楽がついていて、さらにそれが自分の好きな歌ということであれば、無理なく繰り返し聞くことができるからである。
音の文字化が発音記号であるので、最初はスクリプトに発音記号を書き込むのもいいと思う。ただ、フランス語にしろ英語にしろ、大抵はスペリングから発音は決まってくる(そうでないと、まずネイティヴにとって不便だと思う)。だからその規則をだいたい知った後は、発音記号はなくてもいいと思う。
音声を聞く時は、特に次のことに注意している。
母語に全くない構成音:[θ]or[δ]、[v]、[r]、[y](仏語)など
母語では区別されない構成音:[v]と[b]、[l]と[r]、[s]と[θ]と[∫]など
リエゾン、アンシェヌマンなど音の変化
よく、自分で発音できるのが先か、音を聞き取れるのが先かという議論を聞くが、私が前者が正しいと思うのは、発音の仕方を知っていると、その音を聞き分けるときの助けになるからだ。
構成音をすべて認識できるようになったとしても、その文章を理解できるようになるとは限らないのは言うまでもない。構成音をすべて認識できるとは、スクリプトを見ながら読んでいるのに近いと思うが、スクリプトを一読して理解できないものは、当然聞いても理解できるはずがない。読む力が必要であるわけで、それも自分の課題である。ただ、逆はやっぱり正しくなくて、構成音の理解なくしては、その文章の理解はないのである。